ANAは2019年春ハワイ島ホノルルのダニエル・K・イノウエ国際空港に海外初自社ラウンジを開設する旨を発表しました。
これにより来年春運行開始予定の超大型ハワイ専用機3機と共に、アッパークラス客(ファーストクラス・ビジネスクラス)向けた2つのラウンジを持つことになります。
はたしてANAは現在JALの牙城であるハワイをこれら攻勢によって奪還できるのでしょうか?
初めての海外自社ラウンジ開設
ANAは従来、海外ラウンジはスターアライアンス加盟ラウンジに頼っていました。しかし、最重要課題であるハワイ線集客に向けてより快適なサービスの一環として自社ラウンジを開設するようです。
これには、先行するJALがすでに「サクララウンジ」を持っていることに対抗する手段のひとつと思われます。
その表れとして、同空港では最大面積を誇るラウンジであり、ファーストクラス乗客やマイレージサービス最上級会員向けの「ANAスイートラウンジ」、ビジネスクラス客などが使える「ANAラウンジ」の二つのラウンジを新設するようです。
アッパークラス向け二つのラウンジ
ANAスイートラウンジ
ANA Webサイトから引用
「ANAスイートラウンジ」「ANAラウンジ」は、搭乗口に最も近い3Fに位置し、ラウンジ搭乗口からそのまま搭乗できます。搭乗時間に気にすることなく、最後のハワイを時間まで慌てることなくくつろげます。
ラウンジコンセプトは「上質で落ち着きのあるデザイン」とのこと。
足元まである広い窓からは、美しいハワイ島から離発着する航空機を見下ろすことが出来でしょう。
ANAラウンジ
ANA Webサイトから引用
ANA LOUNGEはハワイの自然を象徴する海や空、木々などのデザインされており、落ち着いた雰囲気の中でもハワイらしさを取り入れたデザインになるようです。
ANA Webサイトから引用
また、家族連れの多いハワイでのラウンジは、子供も搭乗前に楽しめる空間として、潮溜まりをイメージした「ファミリーエリア」を設け、周囲には子供が遊んでいる姿を見守れるシートを設置することで家族でくつろげるよう設計されています。
搭乗は二つのルートを備える
ANA Webサイトから引用
従来利用可能なラウンジは、「ユナイテッドクラブ」なので、搭乗口からは離れた「ダイヤモンドヘッド・コンコース」でしたが、今後は搭乗口からすぐそば(「エバ・コンコース」C4)となり、搭乗時間ギリギリまでゆったりとくつろげます。
ANA Webサイトから引用
ラウンジ使用者は、ラウンジから直接機内に乗り込むことが出来る専用の搭乗ゲートがあります。これにより、アッパークラスとエコノミークラス搭乗口が分かれることにもなるので、大型機材A380でも混雑は緩和されると思われます。
ANAの思惑
ANA Webサイトから引用
「空飛ぶウミガメ」の意味を持つ「FLYING HONU(フライング・ホヌ)」と名付け、全機にハワイの空と海、夕陽をイメージした特別塗装されたA380の新造機3機の座席数は4クラスで520席。
クラス内訳は、ファースト8席、ビジネス56席、プレミアムエコノミー73席、エコノミー383席です。
また、ANAのホノルル線では初のファーストクラスとなり、日本初のドアを備えた個室型シートを導入。ビジネスクラスは、家族やカップルが隣同士で座れるペアシートを取り入れ、エコノミーには、日本の航空会社では初となる、ベッドのように使える「カウチシート」を60席設定します。
この様な異例とも思われほどの投資は、今後更にハワイ需要が高まると予測に基づく戦略であり、かつ現在同線シェアNO1のJAL牙城に食い込み、広めることを目的にしたものと感じます。
ターゲットの幅を広げる
520席もの大型機を3機も運用するとなると収益の面でも、ターゲットを広げる必要があります。そもそも運行収益はアッパークラスで高めているのは周知の事実です。
幸いハワイは、家族連れが賑わうリゾート地でもあるので、「赤ちゃんから老人まで」が対象になり得ます。
ファーストクラス、ビジネスクラスの座席数が増えれば、距離のあるハワイであっても歳を召した方、富裕層も取り入れやすくなります。
勿論、ファーストクラスを設定するのですから、専用の「スイートラウンジ」は必要です。今回2つに分けたラウンジ設定は、JAL戦略以外でも当然のことでしょう。
ANAラウンジの解放?
同空港の「ANAラウンジ」は子供連れにも楽しめる設計になってます。しかもラウンジ面積は同空港で最大の大きさとされています。
従来ANAラウンジは、ビジネス客・上級会員に開放された空間です。子供連れの家族は夫婦を含めると3人以上ですね。現在の条件では、ビジネスクラス発券以外で利用するには、会員資格を持って方でも同伴出来るのはひとり。3人なら2人の保持者が必要です。
子供のいる家庭の両親は年齢も若いです。その年齢で両親共に上級会員は、ほぼ皆無に等しいはずです。
なのに、あえて「ファミリーエリア」まで作るのでしょう?
それは需要があり、利用できる環境を整える策をすでに考えているからではないでしょうか?
疲れ切った旅行の最後に待ち受ける空港での混雑は、親も子供もうんざりです。
その不満を満たす方法のひとつに家族でくつろげるラウンジの存在は理にかなっています。単なるファミリー向けのイメージ戦略ではないはずです。
ただし、従来価格の設定ではファミリーでラウンジを使用できる方は限られるはずです。それでもあえて専用エリアを作るのですから、需要を促進する手を考えてると思った方が自然じゃないでしょうか。
現実的に考えられる方法として、
- ビジネスクラスの特別価格設定
- プレミアエコノミー客へのラウンジ開放
- カウチシート購入客へのラウンジ開放
などいかがでしょう。
また、余裕資金のあるおじいちゃん、おばあちゃんを巻き込む戦略もありですね。
そうなればすべてはANAの思惑どおりです。「赤ちゃんから老人まで」そして利益率の高いアッパークラスの販売までが可能になります。
いすれにせよ、ファミリーエリアを設けたラウンジ開設の裏には、同社の思惑が渦巻いているように思えてなりません。
もしそうなれば現在資格を持ってる方から多少不満が出るかもしれませんが、ラウンジは広く設計されていること、セパレートに区切られていることから問題にはならならいでしょう。
来年春から始まるハワイ線での戦略は、JALとの戦いも含め思惑どおりになるのでしょうか? それとも・・・ 来春からの動向に注視したいと思います。
この度も最後まで読んでいただきありがとうございました。
しーゆー ねくすとたいむ いふ ゆー うぉんと !